企業で働く 薬剤師 の仕事7選。製薬メーカーやCROはどうなの?それぞれの職種や働き方、評判について徹底解説

薬剤師 が活躍できる職種⑥:薬事

 新薬の申請においても薬事対応業務は大変重要な職種と言えます。然るべき適切な対応しないと新薬として承認を得られません。

 また薬事職と一言で行っても実際は非常に多岐に渡ります。企業に所属する代表的な薬事職とは『開発薬事』職と言えます。(承認後の薬事は『薬制薬事』)

★仕事内容

 開発薬事は医薬品などを製造販売するために、製造販売承認申請に関わる仕事です。申請資料の作成は主にデスクワークが中心となる職種です。

 申請に必要な非臨床、臨床試験の書類の整理、製造方法や分析方法を記載する承認申請書作成など、全体像を取り扱うため多少の経験が必要な職種です。また多岐にわたる部門との調整ができるコミュニケーション力も重要です。

 各部門の努力の結晶であるデータや文書を申請資料として集約する立場なので、開発作業を俯瞰で感じられるやりがいあるポジションといえます。

 また、海外に自社製品を販売するためには、海外規制当局に申請をする必要があるため英語をつかった文書作成や申請作業は勿論のこと、申請する各国毎の法規制を理解する必要があり、高い専門性が求められる職種と言えます。

 
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恐れるなかれ!申請作業の世界共通化、申請文書のフォーマット標準化が進んでいるため申請作業自体はかなり短縮されています。
 各国当局のクセや特徴は、現地代理人にサポートを得ながら進めることが一般的となっています。

 多くの場合、開発薬事業務はある程度の経験が必要であるように思います。製造現場で製造方法や試験方法に触れてきた人材などがステップアップとして薬事職につくことも少なくありません。したがって、新卒時点では募集はほぼ無い状況です

 中途採用については種々求人がありますが、ほとんどが経験者採用です。経験者自体が市場に少なく人材を取り合っている状況と言えます。ただ実際は薬事業務において、万遍なくキャリアがある人材はそう多くないため、未経験であっても何らかの開発作業に従事した経験があるなら採用の可能性があるかもしれません。

薬剤師 が活躍できる職種⑦:品質管理(QC)・品質保証(QA)

 
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実際に承認を得た医薬品を製造した際に、承認された内容に同等な品質であるかをチェックする役目が品質管理業務です。

★仕事内容(QC)

 品質管理は医薬品の製造段階、完成品の品質が問題ものを製造するためすべてのプロセスで品質をチェックして行きます。正しい製造によって得られた医薬品を、正しい分析をすることで品質が一定であることを確認します。分析化学などの試験や分析が得意な方に向いている職種と言えます。

 また不具合があった場合は、その原因の精査をする場合があり、結果や事象から原因について、科学的な論理的思考が求められる場合も少なくない職種と言えます。

 品質管理業務の特徴として製造工場にて勤務することがほとんどです。新卒の学生に多少不人気な理由がここにある気がします。しかし、地元志向の学生などにはとても大きなチャンスと言えます。中途採用も多くの求人があり、未経験でも実際の手技はすぐに学べるため多くの未経験採用枠があると言えます。

★仕事内容(QA)

 品質保証も指し示す範囲が様々あるため混乱する職種の一つです。端的に言うなら、品質管理(QC)は製造過程の確認作業部門(当事者)と言えます。
 品質保証作業とはすべての製造結果、分析結果が出揃った時点で、文書作成やすべての作業に問題がなかったことを確認し、最終的に品質に問題ない製品が製造できたことを品質保証(QA)が保証します(第三者的)

 品質保証作業は医薬品製造工場(現場QA)、製薬メーカーの本社(本社QA)に存在します。そして最も重要な点として、このポストでは薬剤師が求められているということです。

 品質保証作業では全体像を捉えるため、多角的視点のある薬剤師はその役割を果たすのに十分なポテンシャルを要しています。それ以上に、工場の最終責任者である製造管理者薬剤師免許を有するものしか就任できません。

 本社QAの責任者とはGQPを統括する品質保証責任者(品責)ですが、品責とはゆくゆくは薬剤師免許が必須の総括製造販売責任者(総責)を務める人材であるため、多くの場合が薬剤師免許を有していることがあります。

つまりは品質保証作業にこそ、薬剤師人材が求められているのです。

多くの場合、英語スキルが求められる


 企業に務める場合、新卒でも英語の能力が問われることも少なくありません。中途採用に至ってはTOIECスコアが条件になっているケースが多数です。

 
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 英語はできたほうがいいに越したことがありませんが、実際は翻訳ツールや、出張時にも通訳がいるので心配する必要はありません。

 しかし新卒の場合は、学生時点のほぼ同じ能力値の中で英語ができることがアドバンテージになることは間違いありません。

 中途採用の場合は、新卒とは様相が異ります。新卒は多くの候補者が殺到するため付加価値になりえていますが、中途採用はそうではありません。英語力は企業内の昇給指標になるなど能力指標としての意味合いがあります。

 しかし実際は、中途採用においては募集する実務能力以上に優先されることはありません。なので、TOIECスコアが必須条件になっていたとしても交渉の余地があると思っています。実務経験者であればなおのこと交渉の余地があると思います。
(TOIECスコアは企業側の規定も多いです。人材を採用した部門と、何でもかんでも採用されるのは困るため、一定能力水準のある人材を採用させたい人事部との折り合いが理由の一つです。)

あくまで就職後に英語力が必要とされるシーンが想定されるため、勉強することをおすすめします。

未経験から企業薬剤師への転職を考えている方

 未経験からの企業転職は職種によってそれなりのハードルがあります。
しかし、薬剤師であれば多様な素養や下地があるため未経験でも飛び込むことは難しくないと思っています。

 採用には高い応募条件が課されることがありますが、僕自身は採用上のお作法として形式的な応募条件だと思っています。実務能力があることが先方に認められれば、必ずしも企業に挑戦することは難しいことではありません。

まとめ

 企業でも様々な職種で薬剤師として活躍のチャンスがあります。年収、キャリアアップなど理由は様々ですが、薬局や病院などから転職して視野を広げることも自身の成長に繋がります。製薬企業で働きたいと考えている方は自分がどの仕事をしたいのかを考えてみてはいかがでしょうか。

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