企業で働く 薬剤師 の仕事7選。製薬メーカーやCROはどうなの?それぞれの職種や働き方、評判について徹底解説

 
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 薬剤師 が病院・薬局以外の活躍の場を考えると、最初に出てくるのが企業だと思います。
 その中でも製薬メーカー、CROなど企業の種類は様々ありますので解説していきます。

年収は?CROは下請けだからやっぱり製薬メーカーに就職できないのは負け組?それぞれ考え方について説明します!

企業に務める 薬剤師 の職種主要7選

薬剤師 が務める対象となる企業とは主に、
・製薬企業(メーカー)
・CRO(Contract Research Organization)医薬品開発業務受託機関

が挙げられます。

これらの製薬業界における一般的な職種について解説します。
薬剤師に特におすすめする職種については別途解説しています。

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薬剤師 が活躍できる職種①:研究職

まずは代表的な研究職について紹介します。

★仕事内容

 研究職の仕事は新薬となり得る化合物を開発していくことです。新しい市場やニーズを捉えながら、化合物が新薬になりえるかどうか日々研究しています。未だ治療用が無い病気に困っている患者さんのために、新薬を開発することが最大のモチベーションとなる職種です。

一言、研究職といっても分野は細分化しています。
化合物探索研究:新薬になり得る化合物の可能性を評価する研究。目的化合物を合成することも大きな目的。
薬理・薬効評価研究:薬のポテンシャルを図る研究。基礎化学から薬理研究が主体となる。
製剤化研究:薬は単体では効果を十分に発揮できません。適切な工夫(製剤化)についての研究
薬物動態・安全性研究:薬は身体にとっては異物(毒)でもあるため、体内での挙動を調べる研究
分析研究:薬を他と区別して検知することを目的としたり、上記の研究を正しく評価するための方法を決める研究
など、それぞれ専門的知識、技能が必要な集団と言えます。

 
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就職、転職については空き状況にも左右されるため非常に狭き門となっています。
企業ごとにそれぞれどの分野が不足、過多なのか状況が異なるからです。

 また、企業のブレーンと言える職種ですが、多くの場合は各企業の総社員数において研究職が占める人数の割合はあまり多くはありません。

 企業がアカデミアと根本的に異なるのは、営利・成長を目的としている点です。国営ではない限り、企業は自立成長しなければならず、想像した薬を確実に売ることで利益を上げるしかありません。

 企業としては新薬候補を薬としてモノにする開発部隊、それを販売する営業部隊も大きな戦力です。しかしそもそも研究職は確実な利益をもたらす保証が見えにくい職種です。研究が空振りなら利益は得られなくなります。そのため、実際に利益を稼いでくる部門の人数規模からすると研究職はなるべく少なく、最大の利益を生むチーム編成とならざるを得ないのです。

 したがって求人数自体が少なくなってしまうのが現状です。こうした状況のため、効率よく人材を採用するためには一般応募より、共同研究先など専攻テーマが近い学生人材を縁故面接するケースも少なくありません。

研究領域の分業化

 現在の研究領域は分業化が進みつつあります。研究とはもともと”検討パート”と、”検証”パートに別れます。研究方針や仮設をたて、実際に作業検証します。

 近年では特に、検証パートの実務部分をCROにアウトソージングすること多くなっています。理由としては、自前で実施するよりも安価で済む場合があるからです。
 また、メーカーとしては検証すべき要素が膨大であることも課題で、上記の通り人員も考えると自前だけよりもアウトソースしたほうが成果を得る期間が短縮できると言えます。

 一方、CRO側は様々な企業の案件を受託しているため、試験手技などのノウハウ蓄積が進んでいます。メーカーよりも充実した機能があるCROも増え、メーカーに業務提案ができるCROが重宝されています

薬剤師 が活躍できる職種②:開発職

 
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開発職は企業において花形の職種です。行政への申請対応が主な分野となりますが、自分たちが製品へと押し上げた!そんな達成感を得られる職集と言えます。

★仕事内容

 開発職は研究職は探した新薬候補を正式な医薬品押し上げるための職種全般です。具体的には非臨床、臨床試験を実施して効果や安全性などを確認する仕事です。
 狭義において治験や申請資料の準備までを指しますが、広義には承認申請作業(申請用資料への編集、申請中の行政対応など)などの薬事領域の職域を含む場合があります。

 具体的なポジションは以下の様になっています。
・開発企画
・PM(プロマネ):全体の進行管理
・CRA(臨床開発モニター):医療機関も窓口となり、治験の進行状況をモニタリング。症例報告の書確認等。
・DM(データマネージメント):症例報告書の確認、解析用にデータ化
・BS(統計解析):DM作成のデータをもとに統計評価
・メディカルライティング:試験結果をまとめ、承認申請思資料を作成する。
・開発薬事:治験前相談、承認申請書類を提出、照会対応などの当局対応
・PMS(Post Marketing Surveillance):販売が開始された医薬品の有効性・安全性の確認と、市販前の治験で得られなかった新たな作用・副作用に関する情報収集のために行われる調査の総称。GPSP,GVPに規定。

 
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一言に開発職と言っても、治験全体の立案運営、臨床現場に訪問して治験データの収集、得られたデータを整理分析、承認申請用の資料とするための整理など、様々な職種に分かれています。

多くの場合、初期キャリアはCRA(モニター職)からスタートします。

モニターは治験データ収集・管理といった根幹業務であること、医療機関に訪問が必要であり最もマンパワーが必要な職種であることが理由です。経験を積んだ後PMとなったり、DMなど少し別の分野に進むこともあります。

 新卒で製薬企業の臨床開発職の募集はほぼ間違いなくモニター職のことを指しています。その他の職種は経験後のステップアップ後となるため、基本的に新卒時には全員モニターからスタートします。研究職とは様相が異り、こちらは希望者が多く競争率が大変高いことから非常に狭き門となっています。

 製薬企業の花形職である一方、やはり近年はCROへのアウトソージングが進んでいます。特に現場に赴くモニター職は、かなりの数がCROの外注で担っている状態といえます。理由は研究職能と同じで、人件費や多数の仕事をこなせる点が理由となっています。

 現在ではCROがモニター職を支えている存在といっても過言ではない状況となってきました。CROなら新卒はもちろん、中途採用については未経験でも採用可能な求人情報が多数あります。CROで実務を学び、製薬メーカーにステップアップするケースも多数あるのが臨床開発職の特徴です。

製薬会社の下請けのCROは格落ちなのか…

 しかし一方で批判を承知で申し上げるなら、CROは委託外注業なためメーカーに比べ格落ち感が否めませんでした。しかし近年はノウハウ蓄積など、メーカーに提案可能な会社も増えており、年収面では製薬メーカーに勝るとも劣らない場合が増えています。

ではメーカーとCROどちらに所属すべきか…ここでは所属する意義を考えることが重要です。
企業に所属する意義は、企業理念に賛同できているかどうかです。社会貢献への理念、得意とする領域、開発スタンスなどへの共感が最大のモチベーションとなり得ると思います。

 
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 会社という組織に所属して、同じ方向に向かうのは企業人の大前提。製薬会社の思いに共感して邁進できるかどうかが仕事のモチベーションに重要なのです。


 一方、CROに所属する場合のメンタリティとしては、職種としてのプロを目指せる環境だと思っています。薬剤師として、医薬品の開発意義に興味を持つことも大切ではありますが、こと臨床開発業務とい仕事に対する興味関心を満たせるのは、様々な案件のノウハウが蓄積されているハイレベルな環境のCROが適していると思います。

 
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 社会貢献の仕方にはいろいろな方法があります。一人の臨床開発職として、職業人として能力や経験値を伸ばすことで貢献することも決して間違いではありません。
 経験値を踏める可能性を考えるとCROは特に優れた環境だと言えますね。

 どちらが適しているか、個々人の価値観、目的によって変わってくると思うので参考としてみてはいかがでしょうか。

薬剤師 が活躍できる職種③:MR:Medical Representative(医薬情報担当者)

MRも企業に務める薬剤師の代表的な職種です。研究職や開発職は狭き門ではありますが、比較的挑戦しやすい職種だと言えます。

★仕事内容

MRは医薬品情報担当者です。医療関係者に新薬の案内や、副作用など安全性情報を収集・提供します。

 医療関係者と面談することが多く、先方の都合に合わせると早朝から夜中なってしまうことも少なくないため比較的体力が必要な職種かもしれません。

 全国各地への転勤の可能性があるのも大きな特徴です。ステップアップとして担当エリア難易度が能力指標の1つとなっています。町医者や少クリニックという広域担当から、大きな基幹病院の担当を担うことこともあります。またそもそも人口密集度の都心と郊外ではエリア重要度が異り一般的には市場が大きいエリアを担当するひとは優秀な人材といえます。

 自社製品の理解を促し、啓発活動に積極的な医師と信頼関係を結ぶ中では講演や学会参加に協力することもあります。その場合は休日出勤や出張も発生するためハードな仕事といえます

 MRは医療従事者に薬の詳細を説き、医療機関毎に採用を獲得する営業職です。そのため、採用を得たかどうか、実績が給与に反映される職種といえます。自分の能力や成績が収入に反映されるため、若くして高年収を得ることも不可能ではありません。

 人事評価としては基本的事項ノルマの達成状況両方を鑑みた評価となります。ただしその割合は企業毎に異り、一般的には外資系製薬企業のほうがノルマ達成部分の割合が高い傾向にあります。

 

 
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 年収は企業薬剤師の中でも最高峰です。時間外や事務所外に出張も多く体力的にもハードでありますが、場合によって30代で年収1000万円ほども夢ではありません。
 しかし”ノルマ”が精神的負担になる人にとっては少々苦しいかもしれません。

 魅力的なMRという職種ですが、近年は厳しい状況にさらされています

 その高額な年収から企業人経費がかさんでいる点です。近年ではMRも外注が進み、製薬企業所属のMRは減少傾向が続いています。また医薬品情報提供(≒広告)の部分でも不適切な事態が散見され、MRとしての資質やあり方についても過渡期にあると言えます。コロナ禍も相まって働き方改革が進み、これまでの面談スタイルが変化していくと思われます。

 情報提供活動もIT化が進むことで価値が変わっていく流れであり、今後もMR職のあり方が変化していくことが想定されます。

薬剤師 が活躍できる職種④:DI:Drag Information(医薬品情報管理)

DIは医薬品の情報と向き合い、製薬企業窓口として医療従事者からの専門的な質問に対応する仕事です。

★仕事内容

 DI担当者は医薬品の情報を集め管理し、患者や医療従事者などへ情報提供していくのが主な仕事内容です。デスクワークが中心の仕事となります。

 問い合わせがあった場合、正確かつ適切な情報を伝える役割であるため、常に正しい情報を収集、勉強をしていく必要があります。医療従事者からの質問は基本MRが回答することもありますが、高度な質問はDIが対応するケースも少なくありません。病院などでの集団説明会には講師を担当することもあるため勉強は欠かせません。

 
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医療従事者への説明が必要な場合もあり、説明する側も薬剤師などの有資格者が担うことが多いです。薬剤師が働く職種として適正が高いといえます。 

薬剤師 が活躍できる職種⑤:CRC:治験コーディネーター

治験コーディネーターは、治験の実務をスムーズに進めていく中心となる職種です。

★仕事内容

 治験を依頼する企業と、実施する医療機関や患者の間に立って治験の進行をサポートます。治験開始の準備、患者さんへの治験内容の説明や参加同意の有無の確認、服薬管理や検査への協力など、それぞれの立場の人に細やかなフォローをしていく仕事です。そのためさまざまな方とのコミュニケーションが必要となります。

治験コーディネーターは一般的に製薬企業に所属していません。
 治験施設支援機関(SMO:Site Management Organization)に所属し医療機関へ派遣されるか、大学病院や研究センターなどの医療機関に所属して「院内治験コーディネーター」として業務を行う形が主流ですあります。

 院内治験コーディネーターは、現場の職員が務めることも多く、求人はそれほど多くありません。治験コーディネーターを目指す場合、多くの場合はSMOに所属することが一般的です。

 治験のスムーズな催行に重要な役割ですが年収水準が低いのが心苦しいところです。しかし治験運営の中心を担うモチベーションは他に代えがたいものがあります。

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