ジェネリックってなにが違うの?問題ないの?医薬品の構成について(原薬・製剤、先発・ジェネリックとは成分名と販売名の意味などわかりやすく解説!)

医薬品は様々な形態があります。

医薬品には様々な形態がありますよね。
内服する薬ひとつをとっても、錠剤、カプセルから顆粒、シロップなどもあります。

 
RYU
日本薬局方の製剤総則、製剤各条をみると、かなりの数に上ることがわかります。
平成33年4月施行予定であった『第十八改正日本薬局方』においては、投与経路ごとの分類が予定されています。

第十八改正日本薬局方案

第十八改正日本薬局方案
資料No.1-1,2_通則・生薬総則・製剤総則・一般試験法

厚生労働省HPより

医薬品を適切な箇所に適切に届けるための工夫=剤型の種類ということになります。

おくすりとは”料理”である

おくすりとは”料理”であると思います。

”料理”とは、”材料”を”調理”することで完成しますよね。
ここでいう
・”材料”  とは  有効成分(原薬)
・”調理”  とは  製剤化工夫
を意味しています。

そもそも、薬とは有効成分単体で成り立っているものはほとんどありません
理由は多岐に渡りますが一般的に、

  • 有効成分単体だと安定性がわるい
  • 代謝を受ける、目的のポイント・組織までたどりつかない
  • 有効成分だけだと少量過ぎて服薬準備や管理がしにくい
  • 服用時にあまりにも苦すぎる

などの理由があります。

つまりおくすりは、

おくすり = 有効成分 + 工夫

材料と調理によって特性が決まる”料理”であると考えるのが容易です。

剤形の優先順位

有効成分の効果を最大限化するのに必要な工夫が製剤化です。
そしてその優先順位は原則、人体に侵襲性が無い方法=外用、内服での使用が検討されます。

しかし吸収性や、そもそもの化合物の安定性の問題など、どうしても内服に向かない場合は注射剤として剤型が選択されます。

おくすり = 有効成分(原薬)+ 工夫

以上が医薬品の構成だとわかりました。

ここまで理解いただいたうえで、通常の取り回し言語について解説します。

・有効成分  →  原薬  (但し、添加物などは”原料”と呼ぶ)
・工夫し最適化された製品、完成品  → 製剤

それぞれを以上のように呼び、取り扱いがなされています。

販売名、一般名とは?

ここでよく混同しがちの販売名一般名について解説します。

薬学生は必死に医薬品名を勉強していると思います。しかし、実習等で現場に行くと必ず起きる問題が、『薬の名前と製品名が違う』ということではないでしょうか。

例えば、”ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物”はSGLT-2阻害薬で2型糖尿病の薬であると薬学生は知っています。しかし現場で扱うのは『フォシーガ』です。

・一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物
・製品名:フォシーガ
僕も実習の時はとても憤りました…なぜ中身が想起しやすい製品名にしてくれないのか。ロキソニンわわかりやすいのに…

実はここに、原薬、製剤の考え方があります。
・一般名:原薬
・製品名(正確には”販売名):製剤

という使い分けがなされているのが理由になっています。
原薬(有効成分)+ 添加剤 = 製剤(≒ブランド名)として市場に浸透させたい狙いがあります。

先発、ジェネリック?ジェネリックの命名法のルールは?

次は、先発とジェネリックの比較です。

ジェネリック医薬品とは、先発医薬品の特許切れに伴い発売される同成分薬のことです。

有効成分を同成分使用している製品で、生物学的同等性(薬の力量として同等であること)が得られているものがジェネリック医薬品として承認されています。

平たく言うと全体力量(薬の効果のポテンシャル)がおなじであれば、製剤化の工夫は先発品と異なってもよい!ということです。

ここでさっきのルールに振り返ってみると、

工夫である製剤技術が異なれば、有効成分が同じでも別の製品になってしまいます。

であれば、その新しい製剤にも固有の名前があってもいいはずです。

現に、初期のジェネリック医薬品が別も販売名がついたものが多数販売されていました。

しかし、同効薬なのに名前が複数ある、医療現場は混乱必至ですよね。

そういった背景を経て、現在のジェネリック医薬品の販売名ルールは以下のようになっています。

『有効成分の一般的名称(成分名)+剤形+含量+「会社名(屋号 等)」』

例) ロキソプロフェンNa錠60㎎[サワイ]

大事なのは、有効成分は同じものをつかっていて、薬としての力量(ポテンシャル)は同等だと検証されていること。

ただし、製剤化の工夫については、製造者ごとに異なっていることが普通

もっというと、先発品のレシピを完コピはそもそも不可ということがポイントとなります。

オーソライズド・ジェネリック(AG)

AGは「許諾を受けたジェネリック医薬品」という意味です。


新薬(先発医薬品)メーカーからお墨付きを得て製造した、
原薬、添加物および製法等が新薬と同一のジェネリック医薬品のことです。

特許使用の許可を得て、優先的に先行して販売できるジェネリック医薬品も含まれます。


これだけではよくわかりませんね…

結論としては、
原薬、製剤化の方法など、製法から先発品と全く同じジェネリックのことです。まったく同じレシピのため、先発会社から許諾という扱いを受けています。

なぜ、AGと呼ばれるジェネリックが登場したのか…

もともと、ジェネリックとは特許切れとともにゾロゾロ市場に登場することから、”ゾロ品”などと呼ばれています。

先発品を出した会社からしたら、上市以降毎度薬価が下げられ、さらには安価なゾロ品がでると、先発品の市場価値があっという間に下がってしまうことを、少々疎ましく感じていました。

一方ジェネリックの使用といえば、現在は国の主導でジェネリック切替を超促進することで医療費削減を実行しようとしています。

しかし、”先発品のほうがよく効いた気がする…なんか安心かも…”などの理由から、先発品に拘って使用を続ける人もいらっしゃいます。

 
RYU
気持ちはとても理解できます。

元祖、本家を重んじる国民性も相まって、先発品を使い続けたい気持ちが日本人は特に強いみたいです。

そうした心理を突いたのがAGといえます。

単純なジェネリック価格競争には先発は太刀打ちできません。

しかし、元祖、本家の製法をそのまま許諾したジェネリックなら、ブランド力を背景に、他者にジェネリックとして許諾したとしても権利の許可料などで実入りを確保しやすくなるのです。

また、許諾する会社にとっても、特許が切れる少し前から、先発の許諾をもって先行販売できるジェネリックであるため、序盤の利益を得らる可能性が高いものになっています(win-winな条件となってます)

勿論、先発の製剤で病気に良好なコントロールが得られている患者や、それを診る医師にとっては、ジェネリックに簡単に変更したくない状況もあります。

そういった方にとっては全く同じ製法であるジェネリックはとても安心できる製品にもなっています。



あなたはジェネリックを選びますか?

ここまで、ジェネリック医薬品について説明しました。

・安い
・効果ポテンシャル自体は相違ないこと(個人差がある場合もある)
・よりよい工夫がなされている可能性が高いこと
これらは事実として捉えられます。

その上で何を選択するかは、ご自身の価値観も配慮していただいて構いません。

知識として判断材料になれば幸いです。

最新情報をチェックしよう!