創薬業界の薬剤師のお仕事 医薬品開発 創薬基礎研究から製造まで ③医薬品開発

製造三役(製造販売業の必須役職)

実際の発売にて最も重要なことが、自社の製品品質に責任を持つことです。

メーカーたる責任を持つために、薬機法では責任役職の設定が義務付けられています。

・総括製造販売責任者(総責):品責、安責をリードし全体品質を管理、判断する責任者
・品質保証責任者(品責):製造品質に関する管理の責任者
・安全管理責任者(安責):副作用、安全性情報収集に関する責任者

総括製造販売責任者

医薬品製造販売業には、総括製造販売責任者(総責)設置が必須です。

品質保証責任者(品責)、安全管理責任者(安責)をリードし、製品の最終的品質管理の責任を担います。

総責は品責、安責を経験した後に就任することが多いですが、いずれにせよ医薬品製造に関する部分、安全性情報に関する造詣が深いことが求められます。

そして総責の最大のハードルとなっている条件が、薬剤師免許を有していることなのです。

先の説明の通り、
医薬品製造の部分ではケミカルな素養が求められ、
副作用安全管理部分では臨床知識の素養が求められます。

それを総括する立場であるからには、薬剤師とは真当な要件かもしれません。
※医療機器、部外品、化粧品においては必ずしも薬剤師でなくてもよい

しかし、現実問題としては総責の要件を満たす人材不足が深刻化しています。

上記の素養を有数薬剤師が非常が業界市場に不足し、業界内経験者を取り合っている状況と言えます。

おもちゃの取り合いのイラスト

そしてついには、薬機法改正(令和3年8月1日施行)に付随する改正薬機法施行規則において、要件の一部緩和が決定しました。

医薬品又は体外診断用医薬品の総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者を置く場合の取扱い等について

医薬品又は体外診断用医薬品の製造販売業者は、総括製造販売責任者として薬剤師を置くことが著しく困難であると認められる場合、
「(1)薬剤師以外の技術者の要件」
…①大学等で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者、②厚生労働大臣が①に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

「(2)薬剤師以外の技術者を置くことができる期間」
…薬剤師以外の技術者を置くことができる期間は、技術者を置いた日から起算して5年とする。

に限り、総括製造販売責任者として置くことができる。
ただし、あくまで例外規定であり、医薬品又は体外診断用医薬品の製造販売業者は、総括製造販売責任者の要件として、薬剤師であることが原則とされていることに留意すること。

なお、「薬剤師を置くことが著しく困難であると認められる場合」としては、例えば、予期しない退社等の事由により、総括製造販売責任者として必要な能力及び経験を有する薬剤師が不在となった場合が考えられる。

薬生安発 0224 第2号 令和3年2月24日より

まとめると

・総責となる人材を育成、準備する義務があります
・しかしどうしても用意できない場合、1回は非免許者が特例で総責を担い、繋ぐことができます。
・連続して別の非免許者が担当することはできない。(非免許者の次は必ず薬剤師を用意すること)

以上の背景となった原因がいくつかあります。

■人材が少ないことの原因
・お金を産まないポジションとして、企業人材開発意識が低いポストであること(故に新卒採用、育成を軽視)
・薬学教育としての啓発が不足(薬剤師が重要なポジンションであることに気づいていない)

■特例措置ができた原因
人材を無理やり集めた場合、若手が担うケース散見されます。
しかし、会社の職制やガバナンス上では”下っ端”の場合、上層部への意見がしにくい、または重視してもらえないことがあるため、ある程度”偉い人”が総責の立場に就く必要があるため

だと考えています。
逆に考えると、薬剤師人材の活躍の場がまだたくさんあるということが伺えます。

品質保証責任者

品質管理責任者は、製造した医薬品が正常な品質であるか、判断の後市場に出荷する判断を担う責任者です。

製造販売承認の内容通りの製造、性状が確認試験の結果が妥当であり、製品が承認されたものと同一であることを確認します。

製薬会社に求められる医療貢献として、いかなる時も医薬品の安定供給をしなければなりません。

一方で供給ばかりを重視し、粗雑な管理や製品を供給することは、
社会不利益にもなるため絶対に避けなければなりません。

製造現場と密にやり取りをして、安定的に供給体制を守ることで品質を確保することが望まれます。

製品の品質を守る責任者である品責ですが、
担当するには製造現場で経験を積んだ後に就任する事が一般的です。

・製造現場では材料調達
・保管から製造工程管理
あらやる状況や環境に対して、科学的な妥当性や問題ないことを判断することなります。

多角的視点こそ薬剤師の素養と思いますが、まさに適した職種とも言えます。

工場など製造現場に関する責任者は医薬品製造管理者と呼ばれます。


この医薬品製造管理者も薬剤師の免許が必須であり、医薬品製造管理者として製造現場経験を得た後に、本社の製造販売業(メーカー業)としての責任役職である品質保証責任者に就任することも少なくありません。

安全管理責任者

安全管理責任者は、医薬品製造販売業の義務である副作用、安全性情報管理活動の責任者です。

医薬品は有用なものである一方、多かれ少なかれ必ず副作用がつきまといます。

医薬品メーカーには、製品を作りっぱなしだけではなく、思わぬ副作用を情報を収集し、より安全な使用の促進を図る義務があります。

副作用の情報源は
・医療関係者
・医療施設に出入りするMR
・患者本人から

以上が想定されます。

極端な話、不具合情報を聞いた一般社員でさえも情報を報告する必要があると言えるのです。


近年は、医療現場から情報をMRが入手したにも関わらず、会社への情報共有の遅延MR個人レベルで副作用ではないと判断し、メーカーとしての安全性情報に至らないケースが散見ました。

これらの体制不備について、業界全体に安全性情報収集体制に大きな意識改革、是正を求められています。

加えて、近年では海外販売も珍しいことではありません。
海外で発生した情報の収集義務も当然あり、情報収集体制のグローバル化が大きな課題となっています。

安全管理業務は、臨床初見の報告や経過観察など、医療従事者との折衝機会が多いことが特徴です。

そのため、医療知識のある薬剤師は大変重宝される役職となっています。

安全管理業務については比較的中途採用の門戸も広く、多くは臨床で経験のある薬剤師が転職することもある数少ない企業案件の1つといえます。

製造販売業の体制にこそ、薬剤師の活躍のチャンスがある

医薬品メーカーは、新薬を開発し、次の実入りを予測できることで会社が潤います。

そして次の新薬開発に向かうことが会社の成長を支えるスキームと考えています。

しかし医療倫理の側面から、
承認された医薬品をいかに安定的に供給し、不具合事象にも真摯に取り組み続けることが、医薬品メーカーに課せられた責務なのです。

こちらの側面においては薬剤師が活躍すべきポストが多数存在し、活躍しなければならないと考えます。

 
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しかし多くの場合、品質や安全性といった管理運営部門は”間接部門”と呼ばれ、新たな価値創出をしない分野として立場が弱くなりがちです。

それが企業というもの。

しかし、医薬品に関しては志高く社会貢献性のために高い倫理観が必要となるのです。

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